[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「てんめぇ~…紫音!!」「ちゃんと名前覚えてるじゃないですか」「忘れる訳ねぇだろうがっこんな…てめぇ本当に女か!?」「…まぁ、一応?」自分でも不確かなのか、首を傾げる紫音に、土方は脱力する。
「…もういい。いいからもう帰って寝ろ。頼むからもう帰ってくれ」「あ、そういえばさっきいた中の小柄な方は?」「聞いちゃねぇな。あー平助か?藤堂平助。あれでも総司と同年で、副長助勤だ」「へぇ~皆さん若いんですね」「同年はあと斎藤か。まぁ実力重視だからな………待て」頭を抱えるように手で顔を覆う土方は、ふと止まる。「若いって…紫音、いくつだ?」「私ですか?23ですけど」「…………」「何ですかその沈黙は。軽く傷つきますね」「いや……すまねぇ。気にすんな」profit tax return女の年齢は見た目ではわからない。としみじみ思うのであった。俺はこの名前を大事にする。浪士なんかじゃない。地道にしてきた事が認められたのだ。俺は命尽きる最期まで、守ると誓う。この、新撰組を…!!「あれが芹沢鴨、か…」京都御所の御門前、ズラリと並んだ男たち。それを屋根の上から見下ろす紫音の目に、一人騒ぎ立てる男の姿があった。壬生浪士組の筆頭局長、芹沢鴨である。警護にきた壬生浪士組の面々は、御門を守る門兵によって通せんぼを食らい、芹沢が噛み付いているのだ。「公武合体?尊皇攘夷?今の幕府には残念ながら昔のような権威はないみたいですね。ってあんまり私わかってないんですけど、どういう事なんですか?」紫音は振り返り、御所の横にそびえ立つ木に向かって問い掛けた。「…なんでわかんのや。今回はかんっぺきに消しとったやろ」「山崎さんの消した気配覚えちゃったんですもん」気配を消した気配がわかるってどんだけやねん、本当に。「…まぁえぇ。簡単に説明するとやな、朝廷は夷狄との条約には反対やったんや。なのに幕府は脅しに負けて条約結んだモンやから尊王派はカンカンでな。攘夷祈願を押し切られた天子様が五日前、大和行幸の詔を出したっちゅーわけや」「………それが何か?「公武合体派としては面白くないやろ。この機に乗じて天子様をかどわかされちゃ敵わんからな。で、ついさっき大和行幸の延期と、尊攘派公卿と長州連中の御所追放を求めて反乱を起こしたんや。俺らは万一戦になっても天子様をお守りする為に会津藩から御所固めの命を授かったっちゅーわけやな」「…つまり話が通ってないって事ですよね?この騒ぎは」「理解したんか?」「なんとなく」聞いたくせに…恨めしげに紫音を見ると、下からわぁっと騒ぎが大きくなる。紫音たちはバッと下を見下ろすと、そこには鉄扇片手に門兵とやり合う芹沢の姿があった。「あちゃー」「警護に来た人間が暴力振るっちゃ駄目ですね。ま、気持ちはわからなくないですけど。多分皆さん同じ気持ちだと思いますよ?」そう言われて芹沢の後ろを見れば、近藤を含めた隊士たちが少しだけスッキリした顔をしている。ただ、近藤はすぐに自分の立場を思い出し、沖田らに指示して芹沢を押さえにかかった。「紫音、副長がお呼びだ」「え?まさか、私がいるのに気付いてるんですか?」「さぁ?でもさっきからぶつぶつ言うとるで」そう言われてごった返す中から土方を探す。ようやく見つけた土方は、腕を組んでぶつぶつ言っていた。
1. 無題