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「そうね?だから何処から電話が掛かっているか調べたわ。登録部、小会議室…。」
「そうでしょう?誰でも入れるとこです。」
倫子が会社の電話番号を調べた事も想定内なのだろう、武藤の安心した声が聞こえた後で、倫子は部屋を見上げて言う。
「じゃあ、ここは?」
「えっ?」
驚いた顔を武藤が向けた。
「ここは…登録に来た人が入れる場所?気軽に?あぁ、入れるかもね?誰でも出来る仕事をしていたら隠す必要のない書類ばかりですものね?誰でも入れますよね。」
微笑んで言うと、武藤の怒りが倫子に浴びせられる。
「仕事も出来ないあなたに何が分かるの?大事な書類を新藤さんから預かっているのよ!簡単に「昨日、お昼に私が教えた電話番号、そこに電話したんでしょ?新藤さんの家は留守で、電話線抜いてあるからいつまで鳴らしても誰も出ない。間違えて自分の自宅の番号を言っちゃたのよね。」
「だ、だって…新藤ですって…。出ましたよ!」
「うん!ここからの番号だったらそう言えって言ってあったからね?そもそも浮気相手が新藤ですと電話に出る訳ないしね。でさ、どうしてを知ってるのかな?聞きたいのはそこなんだけど?」
微笑んで楽しそうに宇佐美が訊き返した。
「あそこ、分かる?カメラあるの。」
武藤が驚いた顔で、目線だけを上に向けたまま、カメラを確認しながら言葉を選ぶ様に話した。
「…それは……総務の子達が確認で電話したって言って「ないわよ?来る前に確認したから!それにお昼を一緒した総務の子達はあれがうちの電話番号だって最初から知ってるから、確認で電話なんかしないわ。」
(宇佐美さん……相変わらず最高にかっこいいです!!)
と倫子が見惚れていると、宇佐美が武藤に近寄り、追い詰めて壁ドンをした。
武藤のいる秘書室にカメラを付けたいと言い出したのは倫子だが、武藤の尻尾を捕まえる事に関しては宇佐美に任せていた。
まさか嘘の情報で沢木宅に電話を掛けさせるとは、倫子も予想外だった。
背の高い宇佐美に上から見下されて、椅子を手前に置かれて逃げ場がない武藤に、宇佐美は視線を再び少しだけ天井へ向けた。
「あれ…見えた?」
あれ、と言われて宇佐美の視線の方向へ武藤も目を向ける。
「許可を頂いて、付けさせて頂きました。防犯カメラです。あ、因みに私のポケットマネーです。」
倫子が微笑んで言うと、宇佐美が後に続く。
「あれも昼休憩にあなたを昼食に誘った間に、日暮さんに付けて頂いたの。日暮さんは信用出来るし、社長秘書でここの設立時からのメンバーの一人、会社の為ならとやって下さったわ。どちらにしても防犯カメラは付いていたら安心だからって。」
暫く武藤は話を聞いているのかいないのか分からない状態で、防犯カメラを見つめていた。
「はっ!あはははははっ!!ポケットマネー?だからあんな安物のカメラなのね?証拠ってあのカメラに映ってるとでも言う気?電話してる姿が?秘書なんだから電話くらいするわよ。電話してる姿がカメラに映っているからってそれの何が証拠になるの?音声でも入ってると言うの?馬鹿馬鹿しい。」
宇佐美と倫子で顔を見合わせていると、証拠などないと確信した様に武藤は宇佐美の壁ドンを突き放して、椅子に座り直した。
ハンベエは兵士の様子を冷やかに観察していた。ふと見ると、モルフィネスがこれまた氷のような佇まいで兵士達の様子を窺っていた。ハンベエは再び台座に登った。「王女様の挨拶の後に又何か言うのも間の抜けた感じで、気が引けるんだが。」とハンベエが言うと、兵士達から『確かにその通り、何がしたいのよ。』と冷やかしの声が出た。ハンベエ、苦笑。「姫様が言い忘れた・・・と言うか、高貴なお人柄ゆえ口に出来なかった事が有ってな。姫様に王位への野心はないが、この戦、勝てば褒美は望み放題だ。」「おおー。」現金なもので、兵士達から一斉に歓声が挙がった。飛び上がった奴もいた。ハンベエは、王女エレナの兵士達への挨拶が終わると、明くる日から兵士達に調練を命じた。と同時に、各company formation hong kong中隊長を通じて兵士達に戦術についての改良意見の考究を命じた。ここにも、ハンベエの詐略が有る。兵士達の眼をどうやって戦うかと云う方向に向けさせ、何故戦うかと云う方向に向かわないよう先手を取ったのである。その一方で、王女エレナには兵士達の調練を謁見するよう勧めた。エレナは吹っ切れたように、ハンベエの勧めに従い、金の甲冑を纏い、白馬に跨がって兵士達を見て回った。やっとここまで来た、とハンベエは一息つきたくなったが、慌てて表情を引き締めた。(勝負はこれからだ。だが、その顔に些か精彩が増して来たのは、どうにも隠しきれない事だった。ハンベエに弓部隊の編成を任されたモルフィネスは、手早く三千人を超える兵を纏め、訓練を始めた。同時に、鏃の改良にも手をつけ、短距離用、中距離用、長距離用の三種類を兵士に装備させ、水平射、打ち上げ、打ち下ろし等、仮想戦場に基づいて演習を繰り返した。ハンベエの戦術改良指示も有り、演習の合間には、兵士同士で効果の検証も行わせていた。モルフィネスの訓練はそれまでのタゴゴローム守備軍の訓練を一変させていた。ゴロデリア王国においては、基本的に武技は個人において鍛練するものになっている。その結果、弓部隊の編成等においても、個人の力量により強弓を引く者、そうでない者、マチマチの能力の者が一律に弓兵士として編成されていた。モルフィネスは、まずこの部分から変革に手を付けた。特に弓に秀でた者だけを集め、狙撃専従部隊を作った。その一方、通常の弓兵士には射距離の平準化と一斉射撃の徹底を図った。従来の弓攻撃では、一斉射撃といっても、思い思いに狙いを付けて矢を放つ為、敵の最前列の目立つ標的にのみ矢が集中しがちであった。これをモルフィネスは徹底的に改めさせ、指揮官の指示に従い、一定の面に向かって平均的に矢が散布されるように指導した。小隊単位、中隊単位、大隊単位、そして連隊単位で繰り返し、訓練と成果の検証が行われた。
最近、ちょっと影が薄くなりつつあったが、やはりこの男を捨て置くわけには行かない。何と言っても主人公であるし、又物騒極まりない若者であるから、目を放している隙に何をしでかしているか分かったものじゃない。タゴロロームでは、クラトコ粛正の2日後、何とか第5連隊討伐の陣容を整えたが、その頃にはハンベエ達第5連隊もハナハナ山に到達していた。ハナハナ山に着いたハンベエは大急ぎで二つの事を命じた。一つはかつてハナハナ党が使用していた山塞を修復して、第5連隊が使用できるように手を入れさせる事であり、今一つは近隣の村々から食料を調達する事である。避孕藥タゴロロームから幾分かの食料は運んできたが、連隊規模で精々10日分である。現在の第5連隊は101人、実に連隊の30分の1以下の人数であり、彼等だけの食料であれば十分過ぎるほどの量であった。が、ハンベエは大いに新規隊員を募集し、最低でも以前の連隊規模に早急に戻すつもりであった。また、その一方でゴンザロの活動に期待を寄せる思いも有って、ひょっとしたら、タゴロロームからハンベエ達の側に寝返ってくる兵士もいるかも知れないと考えていた。そうなった場合、何と言っても食料だけは準備しておく必要がある。食料の調達――調達であって、徴発ではない。幸いにして、金はある。バンケルクから奪った金。汚い金でも綺麗に使ってやるぜ、とハンベエが言ったかどうかはさておき、四方の村に人を走らせて、食料を買い求めさせた。そうこうしているうちに、ハナハナ山の第5連隊の処に、タゴロロームからの逃亡兵が駆け込むように押し寄せて来た。曰く、「タゴロローム守備軍に愛想が尽きた。第5連隊に加えてくれ。」曰く、「味方するぜ。」曰く、「タゴロロームの連中イカレちまって、もう行き場が無い。仲間に入れてくれ。」えっ・・・とせとら、エトセトラ。逃亡兵の寝返り入隊志願を聞くと、ハンベエが飛んできた。ハンベエは四の五の言わなかった。良く来た。俺が第5連隊隊長ハンベエだ。入隊を歓迎する。」誰に対しても一つ覚えのセリフで、頼もしげに受け入れた。 自分自身は一つ覚えで通したが、その一方で、パーレル、ボルミスその他に命じて、入隊して来た脱走兵達から、ゴンザロの消息、タゴロローム守備軍の状況を聞いて回らせた。ちなみに、ドルバスとヘルデンは食料調達に出かけていた。ゴンザロの消息はすぐに知れた。バンケルク達司令部に捕らえられ、殺されたという。この情報については、どの脱走兵も同じ回答であり、最早疑うべくもない事実のようであった。ゴンザロ死亡の報せを聞いたハンベエは、ブスッと黙り込んでいた。予想し得た事であり、驚きはしなかった。最初出会った時の印象では、小狡くて、当てにできない、悪く世間ズレのした中年男であった。だが、アルハインド族との戦いから生きて戻ってからは、頼もしい謀略屋であった。この男の活躍により、どれだけ第5連隊が有利になったか分からない。ハンベエも後半はゴンザロの働きを認め、半ば頼みにもしていた。その死には、直接とは言えないまでも、俺も一片の責任がある、とハンベエは感じざるを得ない。だが、死んだ者に取れる責任などはない。ただ、思いを胸に抱いて生きていくのみである。一将功成りて万骨枯れる、という。戦争を指揮する者の栄光は全て、死んだ兵士の上に咲くものなのである。ハンベエはそのやりきれなさを噛みしめながら、無情たらんと心に決した。
栄太郎の隣にいる桂も同じような表情をしている。いや、ほんのり顔を朱に染めているところを見ると、紫音とは少し違う意味で驚いているようだ。辻斬りの件から三日。暦は6月を迎えていた。相変わらずの暑さに、動く気力も削がれてしまう。栄太郎は毎日白粉と酒の匂いをまとって帰ってきて、いい加減に紫音は怪しいと睨んでいた。そんな折、変装した桂が来た事で疑念が核心に変わる。今日はこっそりついていこうと、決意してた紫音。そんな紫音に、起きぬけに栄太郎は言ったのだ。「…頭大丈夫ですか?」基金開戶返せたのはこの台詞。桂はあえてなのか、口を閉じて二人を見ている。「見ての通り至極まともだけど?桂さん、言ってやってよ」話を振られた桂にとってはいい迷惑である。何も自分がいる時にこんな話しなくたっていいのに。と、桂が思うのは当然であろう。「と、稔麿、私に何を求めてるか知らないが、誰だっていきなりそんな事言われたら神経を疑うよ?私は席を外した方がいいかい?」しかし口から出る言葉は優しく諭すようなものだった。「何故桂さんが席を外す必要があるのさ?あぁ、もういいや、楓の鈍感」拗ねたように栄太郎は口を尖らした言われた紫音は眉を寄せて首を傾げる。何故けなされなければならないのか。栄太郎以外誰にもわからない。なんだか気まずい空気が流れて、桂は居心地の悪さにため息をついた。「ん?何処か行くのかい?」「えぇ、私がいたら話も進まなそうですし…これ以上面倒な事を言われる前に席を外します」ニッコリと微笑んだ紫音からは黒いものが見えた。栄太郎は何も言わずに紫音を見送る。だが、窓から紫音が人込みに消えるまで姿を追っていた。「…見たくないもの、見なきゃいいけど」ボソリと呟いた栄太郎の言葉の意味を、やはり桂は理解出来ずに首を傾げたのだった…。**********「あ、永倉さん」「よぉ、紫音!!」「見回りですか?」「おー。この暑さでだいぶ隊士どもがやられててなぁ…巡察の回数増えちまって、俺も倒れたいくらいだ」わざとらしくげんなりしてみせてから、永倉は白い歯を見せる。ちらりと控える隊士たちを見ると、倒れないまでも具合の悪そうな男が何人かいた。「皆さんは大丈夫なんですか?」さりげなく尋ねると、永倉は頭をボリボリとかいて、何故か言い淀む。首を傾げる紫音に、永倉は困った表情を見せて言った。「あー、山南さんがちょっと具合悪いみたいだけどな」山南さんが…。先日会った時も、どこか顔色が悪かった。紫音が考えるように顔を伏せると、突然永倉が焦ったように動いた。「浪士ですか?」戦闘態勢を取れるよう目を鋭くして顔を上げると、永倉は大きく手を広げる。「?何ですか?」「いや、あっち行こうかなって」「あぁ、巡察の途中でしたね。すいません、邪魔して」紫音がそう言うと、永倉は安堵の息をついた。怪訝に思う紫音だったが、面倒はごめんなので気にするのはやめた。が、次にそうも言えなくなってしまった。それを見た瞬間。紫音は動けなくなった。体中の血が、一気に流れ出したようにドクン…ッと大きく波打つ。動けないのに、目だけはそれを追ってしまう。いや、追わなくてもそれは紫音の方に近づいてきた。「よぉっ紫音、新八♪」「こっこんにちは」「……………」「あぁ、こんにちは。……………おまさちゃん」
「てんめぇ~…紫音!!」「ちゃんと名前覚えてるじゃないですか」「忘れる訳ねぇだろうがっこんな…てめぇ本当に女か!?」「…まぁ、一応?」自分でも不確かなのか、首を傾げる紫音に、土方は脱力する。
「…もういい。いいからもう帰って寝ろ。頼むからもう帰ってくれ」「あ、そういえばさっきいた中の小柄な方は?」「聞いちゃねぇな。あー平助か?藤堂平助。あれでも総司と同年で、副長助勤だ」「へぇ~皆さん若いんですね」「同年はあと斎藤か。まぁ実力重視だからな………待て」頭を抱えるように手で顔を覆う土方は、ふと止まる。「若いって…紫音、いくつだ?」「私ですか?23ですけど」「…………」「何ですかその沈黙は。軽く傷つきますね」「いや……すまねぇ。気にすんな」profit tax return女の年齢は見た目ではわからない。としみじみ思うのであった。俺はこの名前を大事にする。浪士なんかじゃない。地道にしてきた事が認められたのだ。俺は命尽きる最期まで、守ると誓う。この、新撰組を…!!「あれが芹沢鴨、か…」京都御所の御門前、ズラリと並んだ男たち。それを屋根の上から見下ろす紫音の目に、一人騒ぎ立てる男の姿があった。壬生浪士組の筆頭局長、芹沢鴨である。警護にきた壬生浪士組の面々は、御門を守る門兵によって通せんぼを食らい、芹沢が噛み付いているのだ。「公武合体?尊皇攘夷?今の幕府には残念ながら昔のような権威はないみたいですね。ってあんまり私わかってないんですけど、どういう事なんですか?」紫音は振り返り、御所の横にそびえ立つ木に向かって問い掛けた。「…なんでわかんのや。今回はかんっぺきに消しとったやろ」「山崎さんの消した気配覚えちゃったんですもん」気配を消した気配がわかるってどんだけやねん、本当に。「…まぁえぇ。簡単に説明するとやな、朝廷は夷狄との条約には反対やったんや。なのに幕府は脅しに負けて条約結んだモンやから尊王派はカンカンでな。攘夷祈願を押し切られた天子様が五日前、大和行幸の詔を出したっちゅーわけや」「………それが何か?「公武合体派としては面白くないやろ。この機に乗じて天子様をかどわかされちゃ敵わんからな。で、ついさっき大和行幸の延期と、尊攘派公卿と長州連中の御所追放を求めて反乱を起こしたんや。俺らは万一戦になっても天子様をお守りする為に会津藩から御所固めの命を授かったっちゅーわけやな」「…つまり話が通ってないって事ですよね?この騒ぎは」「理解したんか?」「なんとなく」聞いたくせに…恨めしげに紫音を見ると、下からわぁっと騒ぎが大きくなる。紫音たちはバッと下を見下ろすと、そこには鉄扇片手に門兵とやり合う芹沢の姿があった。「あちゃー」「警護に来た人間が暴力振るっちゃ駄目ですね。ま、気持ちはわからなくないですけど。多分皆さん同じ気持ちだと思いますよ?」そう言われて芹沢の後ろを見れば、近藤を含めた隊士たちが少しだけスッキリした顔をしている。ただ、近藤はすぐに自分の立場を思い出し、沖田らに指示して芹沢を押さえにかかった。「紫音、副長がお呼びだ」「え?まさか、私がいるのに気付いてるんですか?」「さぁ?でもさっきからぶつぶつ言うとるで」そう言われてごった返す中から土方を探す。ようやく見つけた土方は、腕を組んでぶつぶつ言っていた。